本の話や宇宙の謎、猫の神秘、自作小説など、目についたものをなんでも盛り込むブログ。

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【あらすじ】
動物が死んだら、魂はどこに行くのか……?
心は───転生は?

動物は、死ぬと楽園に行ける……

主人公・紫堂アキラは、動物の死後の世界─── ‹森› ─── を守護する妖魔である。しかし、自分の立場に納得できていない。
それは、食物連鎖に抵抗感を持つ、人間の感覚でもあった……

最初から読んでみようかな? と思っていただけた方は →こちらから


(2)

 全身を包む長いコート、不恰好に大きい帽子にマスク、マフラー、手袋で身を固めた男か女かも解らない人物が飛び込んできた。
「アキラ様あ……!」
「な、何だ?」
 それは真っすぐにアキラに抱きつくと、子供のように大声で泣いた。
「大変なんです! あたしの一族に生まれた仔が───新しい仲間が」
「ちょっと待てよ! お前は一体……」
 言い掛けて、首筋に覗く柔毛に気が付いた。
「えーっと、もしかして月見か?」
 アキラの戸惑った声に、不恰好な人物はしっかりと抱きつきながら首肯いた。
「そうです。あたし……もう、どうしたらいいか解らなくて」
 泣きじゃくっている月見の帽子を脱がせると、銀混じりの白い毛に覆われた顔と、細長い耳が現われた。月見は兎の一族であるのだが、アキラ達のように完全な人型ではなく動物型の姿を持っているので、人間界には出て来られない筈である。本来は。
 しかし、こうしてここに居るということは───
「何かあったのか?」
 アキラは動揺が滲まないように苦労して、優しく声をかける。
「少し落ち着けよ。そんなに泣くと、目が真っ赤になっちまうぞ」
 くすっと泣き笑いして、月見は涙を拭った。その目はもともと真っ赤なのだ。江森の片目のように赤黒くない、明るい色───例えれば、動脈の血色。江森は静脈。
「とりあえずここに座って……コーヒーでも淹れてやるから」
「ありがとうござ───あら? この子たちは……」
 足元を見下ろして、
「どうして床で寝てるんですか?」
「ん、まあ、色々と……」
 口の中で呟いた途端、ドギーとミイはむくりと起き上がった。どうやら『とっちめられる』のに慣れてきて、アキラの機嫌が直るのを見計らっていたらしい。きつい目で睨むと、ふたりとも明後日の方向に目を逸らした。
「とりあえず、まあ座れ」
 疲れ気味の声で呟くと、コーヒーを淹れて流し台のへりに腰を降ろす。月見とその他二名はカウンターの椅子に落ち着いた。
「んで、月見い。一体何が大変なのさあ。俺に言ってみなよお」
「お前が訊くなよ」
 アキラは銀のトレイでミイの頭を叩いた。するとドギーが「そうでございますですよ」と身を乗り出す。
「この兎族の月見にアキラ様がアキラ様のお言葉でおっしゃりたいお言葉を、貴様の図々しい遠慮の欠片もない聞くに値しないどら猫声で口を挟むなど十年も二十年も百年千年万年も早いということをわたくしはわたくしの口から喉を震わせて忠告という正しい形を取って貴様の耳に───」
「お前も、黙ってろ」
 再び本来の用途を外れた使い方をされ、トレイは不貞腐れているように鈍い音を立てた。
 月見の「大変ですねえ」という同情の眼差しに顔を引きつらせながら、やっと、
「何かあったのか?」
 最初と同じ言葉を吐いたのだった。


(3)に続く。


ペース配分を間違えたかも?という気がしてなりません……




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コメント
この記事へのコメント
いや、目はとっくに真っ赤だから。
……というツッコミをすかさず入れようとした回ですね。LandMです。こういうところは結構面白いですよね。
ウサギ型というのもラブリーで良い感じですねよね。……やっぱり引っ張ると耳は痛いんでしょうかね。また、読ませていただきますね~~。
2010/01/31(日) 07:57 | URL | LandM #19fPlKYU[ 編集]
LandMさん。
はい、ツッコミありがとうございます!
この辺りは小説全体から見ても会話が多くて、すごく書きやすかった覚えがあります。
「うさぎ」で検索をかけたら「美少女戦士セーラームーン 月野うさぎ」が大量にヒットしましてビビった思い出も……
大きい動物型ってかかわいいですよね~。なんか好きなんですよ。思いっきりモフモフしたくなります。耳はやっぱり……痛いんでしょうね。きっと仲間たちから年中引っ張られていると思います。いじられキャラ決定。

私もまたLandMさんのサイトに行かせていただきますね~
2010/02/01(月) 10:18 | URL | 孔雀堂 #-[ 編集]
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