本の話や宇宙の謎、猫の神秘、自作小説など、目についたものをなんでも盛り込むブログ。

2017/051234567891011121314151617181920212223242526272829302017/07

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
どうにかこうにか生きております貧乏です。
正月早々携帯電話機でも換えようかニャ~などとショップに行きましたら、目の玉の飛び出るような値段に圧倒されてスゴスゴ帰ってきた私がいます。

誰か私に 携帯電話機(docomo)を下さい。

スットコドッコイなことを書き連ねている間に、昨日アップしたヘタレ勘違い小説が大反響を巻き起こしているようです。
せっかくなので、いただいたメールの質問にお応えしたいと思います。


『群M県 kじゃく堂さん』より。
主人公の名前が 『タケノコ』 なんて、変わってますね?


kじゃく堂さん、お便りありがとうございます。

残念ながら、 ではなくて、『伊織 (シュン)』 です。

次のお便りに行きましょう。


『G県 苦ジャックどう?さん』より。
この作品は新人賞応募したそうですけど、結果はどうなりました?


苦ジャックどう?さん。わざわざありがとうございます。

大事なのは結果ではなくて、過程なのです。結果だけが人生じゃないのさ、精一杯頑張る! それが肝心。ハッハッハ!


さ、次。


『アラスカ州 グンマ県 クジャラク・ドウさん』
この作品を出版する予定などありますか?

クジャラク・ドウさん。海外からありがとうございます。
自費出版するお金なんてありません。とりあえず携帯電話機が欲し (略)



皆さん応援ありがとうございました。
残念ながらこの小説は、まだまだ続きます。これからが鬱展開となる2回目、どうなってしまうのでしょうか。私も気が重いです。

また読んでやってもいいよ?という創造主のような広いお心の方は、『続く』 を開いて下さいお願いプリーズ。

【その2】ええ、ハイハイ。そうです遭難です!


 退屈極まりない生活が始まって、元々やる気のない勉強に飽きてきた頃、俺はいきなり何もかもが厭になった。
 俺の家は、両親が仕事の都合とか色々理由くっつけて地方に行ったきりで、妹との二人暮しみたいなものだった。同じ敷地内に母親の姉(つまり叔母)の家があったが、それぞれ生活があるし、ほとんど放ったらかしにされていた。
 妹の椰々は俺とみっつ違いの高校生で、仲は悪くなかったがお喋りするほどでもなく、時々台所で顔を合わせる他は自分の部屋から出てこない。何を考えているのか解らない所があった。
 大して広くない家なのにがらんとしていて、その中にいるのが耐えられなくなると、運動着に着替えてジョギングする。いつからか予備校にも行かなくなって、酸欠になりそうな家にも居られないから、近所の公園で過ごすことが多くなった。
 一応は参考書を持っていくが、大概はそれを枕にして昼寝。気が向くと柔軟体操とか鉄棒で懸垂して時間を潰していた。
 日が昇って、落ちる。毎日はその繰り返しで終わった。
 身体を動かす以外に趣味らしいものもないし、やりたいこともない。アルバイトでもすれば気が紛れるだろうが、もう何もかもが億劫になっていた。
 息をするのも面倒くさい。───そんなことを考えているうちに、いつの間にか夏を迎えた。
 昼近くに起きて、飯を食ったあとは公園に行ったり、暑すぎて我慢できなくなると本屋に入って涼んだりと無為な時間を過ごしてから家に帰る。朝方まで起きてから、空が白み始めると寝る。誰とも話をしない日が多くなって、たまに喋ったりすると自分の声に驚いたりする。生活を変えなくてはいけないのは解っているが、その気力がない。
 子供みたいに、毎日公園に行った。
 そんな物好きは俺くらいなものだろう。そう思っていたが、段々と見覚えのある顔が出来てくる。子供連れの母親たちや年寄り、何を生業としているのか解らない中年の男、営業途中の会社員───など。
 いつのまにか自分の場所めいたものが出来てきて、どのベンチに誰が座るのかが暗黙の内に決まってゆく。普通の小さな公園だから高が知れてるけど、縄張りと言ってもいいぐらいの微妙な安定感に支配されていた。
 砂場と遊具を見下ろす、ちょっとした丘の木陰……それが俺の確保した場所。いつものように樹に寄り掛かって、何となくブランコに乗った子供を眺めていたら、突然に頭の上から鳥の鳴き声がした。
 見上げてみると、すぐ近くの枝に大きなからすが止まっている。
 糞でも落とされたらかなわないので、手を振って追い払おうとして───ふと、その枝に飛び付いてみた。 
 大きくたわんで派手な葉ずれを響かせる。
 折れるかな、と思ったが、枝は案外太くて丈夫だった。軽く身体を振って、枝をざわめかせる。からすは忌ま忌ましげにひと声鳴いて、逃げていった。
 墨色をした姿を目で追うと、普段よりやや高くなった目線で公園を見下ろして───俺は自分の目を疑った。一瞬だが、ありえない顔を見たのだ。
 前の道路から、こちらを眺めるようにしていた男。中肉中背で、茶色っぽい髪をした、色白の……。
「あれは───敦也?」
 心臓が躍った。
 はっきりと見えたわけではない。しかも、その男は何気なく顔を背けて往来の激しい通りへと歩き出した。敦也であるはずがない───。
 今はもう、あいつと俺は友達とかの関係ではないのだから、この辺りには近寄らないだろうと思っていた。第一、一人暮らしをしている隣街のマンションから、わざわざ大きくもないこの公園に来る理由がない。ほんの気紛れということも考えられるが、敦也は用事のないところには足を向けない。
 なんでこんなことを知っているかというと───。
「ああ……、ったく!」
 俺は枝から下りて、勢い良く駆け出した。ちっぽけな丘を下りて柵をまたぐと、さっきの男の後を追って、全速力で走った。
 あいつの後ろ姿を思い出す。見慣れた細い背中、ゆっくりとした足取り。
 今だから白状してしまうが、俺は高校の三年間で何度もあいつを尾行したことがある。
 本当に俺を覚えていないのか、無視しているのならその理由を質したくて追い掛けていった。しかし、あの姿を見ると声を掛ける勇気が出なかった。結果的にストーカーよろしく、マンションに帰るのを見届けるだけに終わった。いつも「今度こそ」と勇んで家を出るのだが、唐突に話を切り出すのもおかしなもんだし、変な顔されるのが落ちだと思うと「次でいいか」なんて先延ばしにしてしまう。
 なにやってんだろ。そう呟きながら、日曜日には朝から張り込んでいたことだってある。
 出てきたら絶対に話し掛けるんだと決心しても、あの白く取り澄ました顔を見ると自分の気負いが恥ずかしくなって───いや、それは言い訳だ。
 俺はただ、恰好悪い自分をさらけ出すのが怖かっただけなんだ。
「敦也!」
 ひとつ先の信号に間違えようもない背中が見えて、思い切り叫んだ。今度こそと思い続けた日がとうとう来てしまったんだ。
 多少気後れもあるが、今日は話し掛ける切っかけがある。さっき見かけてさ、と言えばいいんだ。そして、こんな所で何してるんだ?と続ければ。
「おおい、敦也あ!」
 横断歩道を渡って、道反対を歩く敦也が振り返った。
 相変わらずのきれいな顔立ち、伸ばしっぱなしの髪が肩に掛かって風に揺れている。
「ちょっと待てよ! 今そっちに行くから」
 両手をメガホン代わりにして言うと、俺はガードレールを乗り越えた。
「ばか、来るな!」
 あいつが驚いた顔で叫ぶのが聞こえた時、俺の身体は猛スピードで突っ込んできたトラックに跳ねられて、宙を飛んだ。
 勿論とっさには何が起こったのか解ってはいなかったが───視界が目まぐるしく変わったと思った途端、青空が見えた。なんて澄んだ色だろうとのんびり考えていると、アスファルトに頭から激突して目の前が真っ暗になった。
 何も見えない。……やっと異変に気付いたのは、女性の悲鳴が耳を刺したからだった。
「事故だ、事故!」
「誰か救急車呼べ───!」
 ざわめきとクラクションが混じりあう中、はっきりと敦也のからかうような声を聞いた。ずっと求めていた、子供の時みたいに打ち解けた口調だった。
「図体がでかいと、血の巡りも悪いのかねえ?」
 遅ればせの激痛が全身を貫いて、俺はそのまま意識を失った。
 血の巡りが悪いどころか、腿の太い血管から血が吹き出していた。一時は心停止状態にまで陥ったらしい。しかし、俺は助かったんだ。
 あいつが血を提供してくれたおかげで……。


               ◇◇◇


「あのまま死んでいれば良かった。今はそう思うよ」
 両膝を抱いた井織は、寒さに震えるように自分の身体ごとかかえ直した。暗い部屋は思い出の分以上に澱んでいた。
「そうすれば、おっさん相手に女々しい愚痴言わずに済んだのにな。こんな苦しい想いだってしなくても……」
 言い掛けた言葉は途切れ、
「いや、やっぱり取り消す。忘れてくれ」
 ぽつりと呟いた。
 壁には男の形をした靄が、一層顔を歪めて蹲っていた。井織の話を全身で聞いているのは明らかだった。
「あの事故が……」
 葛藤が滲んで、井織の声は掠れた。
「止まっていた俺の時間を、動かした───」


               ◇◇◇


 昏睡に陥っている間、俺は夢を見ていた。
 夢というよりは、忘れようと思っていた思い出の中に、かな? 寒くて、痛くて、でも胸が震えるほど大切な場面のなかに俺はいた。
『大丈夫か……?』
 頬を殴られて目を開けると、覗き込んでいる大きな黒目が不安げに揺れている。癖のある前髪に泥がこびりついていた。
『敦也、どうして』
『はあ? 何が『どうして』?』
 怒っているのか、口調は素っ気ない。
『頭でも打ったのか? 変な顔して』
『だってお前、俺のこと無視して……』
『ぼけてないで、怪我がないか見ろよ。血、出てるぞ』
 俺の足元を顎でしゃくって、右手を差し出した。
『立てるか?』
 その手の小ささに、一気に全ての情況を思い出した。
 小学六年生になったばかりの連休に、遠出しようと誘ったのは俺だった。もちろん子供だから近くの山に行ったんだけど、一応はナップザックを背負って、登山の気分になっていた。
 山菜採りの家族連れで賑わっていたコースから、大きく外れて登り始めたのも俺だった。
 まるきり小学生の発想で、
『ツチノコって、人間が近づくとジャンプして逃げるらしいぜ』
 と、薮の中を指差した。
 それに乗った敦也も、またガキで、
『どっちが先に見付けるか競争だな』
 挑発する目つきで笑うと、先に駆けていった。
『俺が先だぞ!』
『早いもの勝ちだ』
 結局はジャンケンで俺が先頭を歩いた。拾った棒切れで草むらを薙ぎ払いながら、道なき道を掻き分けて、何も考えずに登って道に迷ってしまった。
『参ったな。?遭難?したよ』
 敦也は、気楽に笑った。
『俺は別に、このまま原始人になってもいいけど』
『家に帰らないで?』
『そう、ずっとここに住むんだ。木の実を採って、洞窟をねぐらにする。毎日がサバイバルだぞ』
 本心からそれを望んでいるかのように聞こえる。
『……それも、いいかも』
 呻くようにあいづちを打った。俺はいいとしても、すぐ貧血起こすようなやつには耐えられないだろう。なんてのんきな奴だと思った。
 日は暮れてくる、喉は渇いたし心細くなるしで、口数が少なくなってきた頃、
『……あっ!』
 突然に叫んで、敦也は草むらに飛び込んだ。
『今、何か見えた! あれはきっと……』
『待てよ! 道を外れたらやばいって!』
 制止の声も聞こえなかったのか、茶色っぽい髪が草の間に消えてゆく。
 それを追って、俺も駆け出した。
 枯死したいばらに突っ込んだらしく、ぱりぱりという音を立てて細かな枝が飛び散る。
 黒い服が見え隠れして、苛立ったような横顔がちらと覗いた。
『……敦也!』
 行ってはいけない。そう言おうとした。
 若葉を付けた木々と草のじゅうたんが、すぐ先で切れている。そのまま走ると崖だ。
 どうして言えなかったのか解らない。俺はただ、息を切らせながら追っていた。やせっぽちの敦也になら追い付けると思っていたのかもしれない。捕まえなければとしか考えていなかった。
 サテン地のジャンバーが不意に現われて、
『待てったら!』
 組み伏せる勢いで、背中の辺りを掴んだ。
 そして、そのまま崖下へと転がり落ちたのだった。
『俺、死ぬのかな……』
 目の前に差し出された手を掴めなくて、そう呟いた。
『頭がくらくらするし、身体がよく動かない。それに、凄く寒いんだ』
『俺をかばって背中から落ちたからな』
 余計なことをして、という目つきで睨んでくる。
『死ぬわけない。馬鹿が治るだけだ』
 にべもない返事に、つい笑みが浮かんだ。
『お前は平気なのか? 体は……』
『大丈夫だ。別にどこも痛くない』
 肩を竦めると、敦也はうっすらと笑った。俺の好きな、穏やかそうに見える微笑みだ。
 それに力を得て、なんとか首を持ち上げた。いつまでも横倒しになっていると本当に身体の自由が利かなくなる気がして、厭だったんだ。
『悪いけど、手伝ってくれないか。起き上がりたい……』
『無理するなよ』
 尖った声で言いながらも、背中に手を回して大きな岩に寄り掛からせてくれた。
 視点が変わって、見えたのは───周囲を拒絶しているような暗やみだった。
『ここ、どこだろ……』
 不安になって呟くと、
『崖の下』
 簡単な答えが返ってきた。
 目を凝らしてみれば、気の迷いかと思うような濃淡が広がっている。恐らく、木と葉が絡まりあって取り囲んでいるのだろう、その想像すらも救いとなるほどの漆黒だ。
 不思議なことに、俺達の周りだけぼんやりした光が射していた。
『待っていれば誰か来るさ』
 俺の絶望に気が付いていない気楽さで言う。
『まあ大丈夫だろ。この時間に俺達が帰ってこないのが解れば、誰か通報しているんじゃないかな』
『誰かって、お前んちのおばさんとか?』
『ああ。……書き置きしておいたのを気が付けば、の話だけど』
 敦也のうちは、お母さんしかいない。夜の仕事をしていると聞いたことがある。一度しか会ったことはないが、とてもきれいな人だった。
 敦也はナップザックからチョコレートを取り出して、
『食っておけ。顔色悪いぞ』
 と、俺の口に放り込んだ。
 熱が出始めているのか、舌の上でねっとりと溶けてくる。
 その甘さに、涙が滲んだ。
『うちでは、誰も気が付かないよ』
 勝手に言葉が滑り出た。
『俺がいなくたって、父さんと母さんは気にならないんだ。だって、弟の克巳のことで頭がいっぱいなんだもの……』
『弟?』
『言ったことなかったよな。本当は、妹の椰々の下に弟がいるんだ。今、三歳で……免疫不全とかなんとかで、入院してる。親はそっちに掛り切りになって、俺達は隣の叔母さんの家に預けられているんだよな』
 どんどん涙声になってゆくのを、解っていながらも言葉が止まらない。
『いつでも、どんなときでも、克巳のことが最優先。可哀想、可哀想で付きっきりさ。あのふたりは克巳だけ居ればいいんだ。俺のことなんて、気にしちゃくれないよ』
『旬……』
『だから、俺……もう死んじゃっても、いいんだ……』
 吐き出すように言ったが、途中からは嗚咽に変わっていた。精一杯の我慢が切れて、見せたくなかった部分がさらけだされてゆく。
 敦也はそんな俺を、じっと見ていた。
『お前って、心底馬鹿……』
 呆れた声だった。
『治りようがないほど馬鹿、たぶん死んだって治らないな。こんなこと言うだけ無駄だけど、生きてりゃ馬鹿が治る可能性だってあるんだぜ?』
『ん……』
『ツチノコ、見付けたらお前にやるから。……な?』
 言いたいことが掴めなくて返事に困ったが、しばらく考えてから慰めているつもりなんだろうと思った。
その訳の分からなさが胸を締め付ける。
笑ってやろうとしたけど、顔がくしゃくしゃになっただけだった。
『……旬』
 敦也は困ったように呟いて、俺の顔を覗き込む。
『少し眠った方がいい。疲れてるだろ』
『簡単に、言うなよ。……眠れないよ』
『大丈夫だ。俺が───』
 と言い掛けて、急に狼狽えた。
『あー、その……暖めてやるから』
 何を口にしかけたのかは解らなかった。そんなことを考える暇もなく、敦也の細い腕に抱き締められていた。
 俺よりも小柄なのに、すっぽりと包まれた気がした。あいつの肩に顔を押しつけるようにすると、幾分速い鼓動が伝わってくる。自分の心臓も歩調を合わせて速くなり、どちらがどちらの音なのか判別できなくなる。
 温もりが、少しずつ俺の身体を暖めていた。
『ゆっくりと眠れ。目が覚めたら、何もかもすっかり良くなっているから……』
 催眠術のように耳元で言われ、返事をする間もなく俺は意識を失った。


 目が覚めると、そこは病院の中だった。
 ちかちかとする視界は全て真っ白で、瞬きごとに色が戻ってくる。
「───旬くん!」
 圧し殺した叫びに目を向けると、髪を乱した叔母が口元を押さえて立っていた。
「よかった、本当によかった……! 一時は危ない状態だったんだよ」
「俺が?」
 顔の筋肉がこわばっていて、声が出しづらい。
「父さんと母さんは来てくれなかったの? やっぱり俺よりも、克巳の方が大事なんだね……」
「何を言っているのよ」
 枕元に屈み込んで、俺の手を強く握った。
「雪江と智英さんは───」
 俺の両親を名前で呼んで、
「今はO県にいて、どうしても飛行機の都合が悪いらしくてね。第一旬くんも、もうすぐ二十歳になるんだから親が恋しい歳でもないでしょう? だからあたしが『来なくてもいい』って、言ったんだよ。それに、克巳ちゃんは……」
 口ごもって目を伏せる。急に皺の多くなった顔、白髪が見え隠れする髪を見て、俺は一気に現実へと戻された。
「あ、あの……俺、どうして怪我したんだっけ? もしかして、トラックに撥ねられたのかな?」
 叔母は心配そうに首肯いた。
「病院に運び込まれたときは、心臓が止まり掛けていたそうだよ。出血多量と全身打撲で、頭も少し打っていたって。でも、お友達が輸血してくれたお陰で、漸く───」
「友達?」
「そう。名前は言わなかったらしいけど。誰なんだろうね」
 首をかしげている叔母を、俺はもう見ていなかった。
 敦也、お前だろ。心の中で語りかけて。
 白く整った横顔を思い出した。詰め襟の制服姿で廊下を歩く姿と、休み時間にベランダで空を見上げている背中、夏でも長袖のシャツを着て街を歩いている、遠い人影を。
 それらが、小学六年の姿と重なり合って、消えていった。
 あのハイキングで俺は入院し、退院したときにはすでに敦也は転校していった後だった。
 あいつに何があったのだろう、あんなに性格が変わってしまった原因は、一体なんだ? 考えても考えても答えは出ない。
 直接、訊くしかないんだ。
 体裁のいい言葉や切っかけなんて、もういらない。俺は敦也を、理解したいんだ。そう思ったら、どこかすっきりした。
 退院したら、あいつのマンションを尋ねてみよう。今度は正面から向かい合って、どうして俺を嫌うのか訊いてみる。その上で喧嘩するなりすればいいんだ。
「少し眠っていいかな」 
 まだ色々と話し掛けていた叔母に言うと、済まなそうに肩を竦めた。
「そうだね、早く身体を直さなくちゃ」
「うん。俺、一日でも早く退院したい。悪いけど病院に言っておいてくれる?」
「分かったよ。なにしろ回復が速いって驚いていたから、すぐ退院できるよ。きっと」
 安心させようと微笑む。
 その向こうに、じっと立ち尽くしている少女に気が付いた。セーラー服を着て、洒落っ気のない短い髪をしている。
「───椰々」
 呼ぶと、妹は目だけ動かしてこちらを見据えた。
「克巳、死んだのか?」
 表情のない顔は、唇の動きさえも微かだった。
「……とっくに、死んでるよ」
「そうか」
 身体から力が抜け、俺は目を閉じた。
 確かめたかった。克巳は四つになる前に、力尽きていたんだ。父と母はその衝撃から立直れず、地方に仕事を求めて家を出た。俺達の顔を見ると克巳のことを思い出すからと言って。
 それ以来、両親には会っていない。


【その3】に続く。






  _, ._
  ( ゚ Д゚)
  ( つ旦O
  と_)_)

    _, ._
  ( ゚ ◎゚)   ズズ…
  ( ゙ノ ヾ
  と_)_)

    _, ._
  ( ゚ Д゚)   …………
  ( つ旦O
  と_)_)

    _, ._
  ( ゚ Д゚)   ガシャ
  ( つ O. __
  と_)_) (__()、;.o:。
          ゚*・:.。


鬱展開すぎて笑いも出ないっ!

この後、さらにどん底展開 続きます☆

縦書き文庫で読んでもいいZE! という方はこちらへお願いします。

NEXTをクリックしてお進みください。

スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
あけましておめでとうございます!

BL?小説は門外漢ですみません!
(正直に謝ってみました。)
でも応援してますから!
実は私も昔は作家になりたかっ…ごにょごにょ…。太宰治とか読んでた若かりし頃…。
また新作書いて応募がんばってくださいね。

それと、うちの夫も厄年らしいです。夫婦で同じ歳なのね…。
妻の愛で乗り越えてやりましょう!
2010/01/07(木) 12:38 | URL | せいの #-[ 編集]
せいのさん。
こんにちは~
いやいやもう、本当にすいません! 恋愛モノは苦手なのにBLに飛びつくあたり、私はやっぱりトンチンカン。
でも応援ありがとうございます。心強いです(*^_^*)
せいのさんも作家になりたかったんですか! 太宰治とか私は読めなかったんで、ちょっと憧れます。最近また密かにブームらしいですね。夢野久作ブームって来ないのでしょうか……?

せいのさんのご夫婦も同い年カップルなんですね。
今年の男性厄年はかなり怖いです……頑張りましょうね~!
2010/01/07(木) 17:18 | URL | 孔雀堂 #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://kujyakudou.blog95.fc2.com/tb.php/105-26e31d4e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。