本の話や宇宙の謎、猫の神秘、自作小説など、目についたものをなんでも盛り込むブログ。

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ブログを休むこと、10日余り。

なんということでしょう。
もう8月も下旬になり、世間様では夏休みが終わろうという頃になっているではないですか。

前回、記事を更新したときには、私はお盆だということで昼間からビールをいただいたり、親戚のお宅に伺ったりしておりました。
そして昔話で盛り上がり、ついでにイヤな思い出も呼び覚ましたりしてグッタリと疲れたわけです。

お盆が過ぎると、発熱やらめまいやらに襲われて寝込んでしまいました。
つまり夏風邪だったのですが、体力低下という現実をひしひしと感じてガックリした次第です。

さらに悪いことは重なります。

つい3ヶ月前にクリアしたばかりのプレイステーション2ソフト 『ペルソナ3』 の続編である、『ペルソナ4』 を手に入れてしまったのです。

チョットだけよ? 私は加藤茶になりつつ、ゲーム機の腹中にソフトを滑り込ませたのでした。


そして一週間が過ぎました。
すっかり寝不足です。 猿のようにコントローラーをカチカチいわせ、私は眼精疲労と 座り貧血と 肩こりに悩まされながら、
「うお~、ステージボス強すぎ!」
と言いつつテレビの前に座っているのでした。

アホですか。 はい、アホです。

こんな私に、仲間ができました。
きっと強い魔法が使えるヤツです。




nakama.jpg

よーし、よしよし。


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最近、なにかとワサワサしていて更新がすっかりおろそかになってしまいました。
それというのも、お盆休みが悪いんです。ええ、それと暑くてビールがうまいのも。

ということで、だらだらしたまま過ごしていた一週間。
とりあえず動画をアップしましたので貼り付けたいと思います。



少々音が出ます。念のためお気をつけ下さい!


テーブルの下には



まだまだ暑い日が続きますが、みなさん干からびないように気をつけましょう。



先月、ハリー・ポッターの最終巻が発売になりましたね。
もちろんファンタジー好きを看板に掲げる私は、ハリー・ポッターが大好きです。
今まで発売になった本は全部読んでいます。最終巻も図書館に予約を出していますが、まだまだ順番が回ってこないので首をキリンさんみたいに長~くして待っている次第。

そこで、今日はハリポタのストーリーを覚えているだけ書きだしてみたいと思います。




まずは、ハリー・ポッター。
幼い頃に両親を亡くし、意地悪な叔母さん一家に引き取られて日々虐げられている少年です。
ダッフルコート、メガネの男の子に激しく萌える人たちを熱狂させたのは記憶に新しいところ。
特技は、蛇と話ができることですね。ええ、これはハッキリと覚えています。
そして魔法学校に入学して、友達もできました。
ロンとハーマイオニーのふたりです。
そばかすだらけで赤毛のロン。口癖は 「おったまげー」 でよろしいですか?
ハーマイオニーは作者のJ・K・ローリングさんがモデルだということで、思いっきり頭がよくておいしいところをさらって行く女の子です。ビバ、資産536億円。
出てくるお菓子は、どれも 「私はたぶん食べないだろうな」 というものばかり。イギリスの食文化を微笑ましく思う一幕でもあります。
そして悪役の教師や嫌味な同級生とのアレコレがありながらも、宿敵ナントカ卿?と対決していきます。
ナントカ卿は自分のことを 「俺様」 と呼びますね。
いつかそのうち、
「俺様バイキンマ~ン!」
と言ってくれる日が来るに違いありません。

えーっと、あとなんかありましたっけ。

そうそう、校長先生がいましたね。
ハリーに目をかけている割には、いざとなるとあんまり助けてくれなかった気がします。

あと、忘れてはいけないのがハリーの友達ハグリッド
怪獣が大好きで、飼ってはいけない動物ばかり飼育したがる困ったさん。
しかし実を言えば私も変わった動物が大好きなので、ハグリッドの気もちが痛いほど分かります。不思議な形状をしている生き物ほど、強く惹かれるんですよね。ダイオウクソクムシとか、深海魚の話を読むと楽しくて仕方がありません。ワクワクしますよね、不思議な生態の生き物って。
密かに 「ハグウリッド、ガンバっ」 と声援を送っている私です。

とうとう最終巻が発売になって、一番気がかりなのが、ハリーと 「俺様」 卿の対決シーンです。
未だにお子様口調のハリーと、どこかコメディ風の悪役……どんなラストになるのでしょうか。

ええ、本当に読むのが楽しみなんです。本当です。
図書館で借りずに買って読め、とよく言われますけど……まずは読んでから買うかどうか考えます。
面白かったら、ブログに感想を書きたいと思います。高まる期待。募る不安(不安?)。


あの……、ハリポタは本当に大好きなんです。信じてください。


第三章(1)


 再びの着替えを済ませてから喫茶店に戻ると、ドギーとミイ、蜜子が退屈そうに待っていた。
「首尾はどうだったの?」
 薄い微笑を浮かべて蜜子が訊いてくる。アキラはとたんに渋い表情に変わった。
「別に、いつも通りだ」
 突き放す口調で言って、カウンターの中に入る。
 蜜子のからかうような視線が癇に障り、体の内側には苛立ちが頭をもたげてくる。自分でも持て余すほど機嫌が悪くなりそうで、アキラは次第に不貞腐れた表情に変わっていった。
 手を洗ってから自分用のコーヒーを淹れると、
「……江森は?」
 唇を尖らしたまま訊く。
「月見を送って行ったよお」
 ドギーと“あっちむいてほい”をやりながら、ミイが答えた。
「あの格好じゃ街中を歩いて行けないからねえ。アキラ様がよく使う、体が見えなくなる術を掛けて連れてったよお」
「話は聞いてやったのか?」
「もちろんだよお。大変なことが起こってるってえ」
 思わず蜜子に問いかける目を向けると、硬質のアクセサリーに囲まれた美貌は曇りがちの表情で頷いた。
「どうに説明したらいいかしら……」
 巻き毛に指をからめて、困ったように微笑む。
「なんでも、兎族に生まれた仔が蛭子だったらしいのよ」
「蛭子……?」
 訝しげに言ってから、アキラは眉を顰める。
「日本神話に出てきたやつだな。確か、骨のない身体だったとか……兎の仔もそうなのか?」
「当たらずとも遠からず、という感じかしらね」
「何だよ。はっきり言え!」
 アキラの性急な口調に、蜜子は降参するようなため息をついた。
「身体の状態がよく判らないらしいのよ。頭も、手足もなくて─── あるのは丸い毛玉みたいな体だけで、触ると暖かいし生きているということははっきりしているけど、声を上げることもないからどう扱っていいか困惑しているそうよ。兎族の年配たちは何かの前触れかもしれないと言い出したらしいし、みんな不安でいてもたってもいられなくて……それで月見が来たというわけよ」
「年寄りってさあ、前触れとか説教とかが好きだよねえ。……でも今度ばっかりは俺も気持ちわかるかなあ」
 ミイは後出しじゃんけんで連勝するのに飽きたのか、カウンターに乗り出して話に加わった。
「だあってさ、月見とかの動物型が生まれてきているってだけで、今の統皇様は歪みがあるんだとか言われてるんだよお。なんでも統皇様の治世になってから、能力が偏っている者が生まれ出したんだってえ。そんな話聞いちゃうとさあ、この先どうなるんだろうとか思っちゃうよお」
「わたくしもまるきり同じ意見を言うのはわたくしの精神と誇りに瑕を付ける行為であると承知していますでございますが、まるきりからやや欠ける程度に同じ意見なのでございます」
 ドギーは、アキラに付けられた目の周りのあざを、なぜかもうひとつ増やした顔で頷いた。あまり深く知りたくないが、ミイが勢い余ったふりをして殴り付けたらしい。
「動物を守るための〈森〉に、動物を守るための妖魔が奇妙な姿形をしていたら動物を守る仕事が出来ないではないですか? でしたら妖魔ではないですし、妖魔ではない生き物は〈森〉に誕生できるわけがありませんし」
「おっ、めっずらしく解りやすく話せたじゃんかよお」
「わたくしは常にわたくしにとって最適で理に適った理路整然を地で行くような話し方なのでありまして、貴様にとやかくわいわい言われる筋合いでも知り合いでもないということを今この場で貴様に言わなければならないわたくしの苦労を知っての暴言でありますか? しからば言わせて頂きますが……」
 苛々とカウンターを指で弾いていたアキラは、
「うるっせえんだよ、お前等!」
 両手でふたりの頭を鷲掴みにした。
「話をずらすなっての! すぐに反省しないと、林檎みたいに握り潰す!」
 ふたりは、まじ?と言いたそうな目を見合わせ、
「ごめんなさい」
 声を揃えてうな垂れた。
「解ったようだな。じゃあ、ついでに訊きたいんだが」
 きつい目はそのままに、アキラはつい早口になる。
「〈森〉ではどうやって子供を作るんだ? 人間と同じか?」
「……」
 沈黙が走った。
 バイソンの群れが道を横切るぐらいの時間、誰もが口を開かなかった。その沈黙に決着を付けたのは、ドギーだった。
「ああ、愛の営みのことでございますか」
「あ、愛 ─── って、お前……」
 たじろいで後退りしたアキラを不思議そうに見て、
「雄と雌の生殖行動を交尾というのでございますよね? 人間の言葉にすれば愛の営みというので合っているとわたくしはわたくしの記憶から申し上げますですが、わたくしは何か違った考えを基に考え違いを口にしてしまいましたでしょうか。それとも人間の場合も交尾と言っていいのでしたでしょうかとわたくしはわたくしのアキラ様に申し上げます」
「いや、うん ─── その……」
 二の句が継げなくなり目の辺りを押さえると、ミイは楽しげに声を上げた。
「あー、アキラ様、もしかして照れてるう?」
「そんなんじゃねえよ。言い方の問題だ」
「でも顔が赤いよお!」
「はて、面妖な」
 ドギーが大真面目に呟いた。
「ではわたくしはわたくしなりに交尾と言っていいということにしていますが、しかしながらわたくしが言った愛の営みや交尾の何のどこがアキラ様の照れて面映ゆい心を触発して顔面を紅潮させたのか……」
「案外と可愛いとこもあるんだねえ。短気で乱暴なだけかと思ってたけどお」
「速急に解決しなければならないのは交尾という言葉の使い方なのか、交尾という生殖行動そのものなのかが最重要にして難解な問題なのでして───」
 不協和音を奏でているふたりは、突然顔面に握りこぶしをめりこませて、後ろに倒れ込んだ。
 我慢の限界に達したアキラが、無言で殴り付けたのだった。
「……ったく、話が全然進まねえじゃねえか」
 どた、と椅子ごと床に倒れたふたりは完全に失神しているらしい。首を伸ばして確認すると、仲良く白目を剥いていた。
「あなたって本当に乱暴な子ねえ。一日に何回気絶させたら気が済むの」
 呆れた口調の蜜子を振り向くと、相変わらず薄く微笑んでいた。
「お前もぶん殴られてえかよ。話を戻すつもりがないんだったら女でも容赦しねえぞ」
「あら恐い」
 翳ることのない美貌はアキラの恫喝をさらりとかわす。
「……で、話ってなんだったかしら」
「だから、愛 ─── じゃなくて、交……」
 言い掛けて、アキラは自分の頬を叩く。
「こう、こ ─── 子供の話だ」
 今度こそ本当に赤面してしまい、それを見て蜜子は高らかに笑った。


第三章(2)に続く。



縦書きで読みたい方は、こちらをどうぞ!

月夜ノ蝙蝠丸 名義です。
「NEXT」をクリックして本文にお進みください!



縦書き(9)に続く。


ああ……超個人的にですが、ものすごく懐かしい箇所です……

アップさせていただいている小説について。

実はこの小説、10年ほど前に書いて新人賞にバンバン応募した小説でした。
私の中ではちょっとした成果のあった作品でして、記憶の中ではものごっつ感動的、且つユーモアにあふれてキャラ立ちもしているという自画自賛で大爆発という品だったわけです。

しかし。

しかし……!

10年経った今、ブログにアップするために読み返してみたら。

私は余りの痒さにのたうちまわりました。

こ、こんな小説書いてたんだ!

美しい記憶だけ持って隠居すればよかった……いや、これはこれで味があっていいかも? よくないぞ? 絶対に!

ほんの少しだけ脳内で葛藤しましたが、結局はほとんど手直しせずにアップを続けることにしました。
書き直しを始めたら、全部そっくり直すことになりそうだからです。

それに、縦書きで書いた文章って、横書きにすると若干読みづらくなることも思い出しました。
昔はよく大学ノートに下書きしていましたが、それをそのまま原稿に書き写すと「超」のつくほど下手な文章になっていました。原因はやはり、読むリズムが違うからだと思います。息継ぎのバランスとか、文字の組み合わせなども縦と横では違うようです。

今回は急きょ横書き用に句読点を直したりしてみましたが、全体のリズムがおかしくなることに頭を悩ませていました。
やればやるほどおかしくなる。

打つ手なし。

ここまで来て、ようやく、
「そのままアップしよう……!」
という悟りを開いたような気持ちになったわけです。

読んでくださる方がいたら望外の喜び、という思いで立ち上げたブログですが、本当に読んでくださる方がいらしたら……感謝と共に、深く謝罪をしなければなりません。

読みづらくてすいません! それに痒さ全開で誠に申し訳ありません!!!

でも、もし気に入っていただけたら非常に嬉しいです……!
最後までアップしたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。





読み返すと、「ぐあああああぁぁぁぁ!」となります。かゆ、うま……


(4)

「……ったく、どうして俺が怒られるんだよ」
 アキラは銀杏並木を歩きながら、愚痴をこぼした。蜜子がうるさいので、月見の話は江森に任せて出てきたのだ。
 そこかしこに楽しそうな笑い声が満ちている。
〈森〉では“運命の力”という通称であるが、アキラは勝手にA地区と呼んでいるパワースポットに来ていた。そこは隣街にある私立大学の広大な敷地の一画にあった。
 もともとは国有林だったものを、払い下げで一括手に入れた人物が私立大学の創始者だという。その人物はパワースポットのことを知っていたのかいないのか今となっては判らないが、敷地のほとんどを林のままにしておくことを厳命した。
 その結果、古ぼけた校舎は恐ろしいほどの勢いで群生する樹々に囲まれ、体育館や資料館を繋ぐ遊歩道だけが人間が踏み入れる場所を心細げに確保している状態になった。四季折々の顔を見せるカエデやナラは、手入れもされないまま増殖さえしていた。
〈森〉の妖魔は、ここを巡回するのを義務としていた。今日はドギーとミイがアキラの代わりに見回りを済ませてあったが、再び訪れたのは蜜子の予言、『心』を持った動物が臨終を迎えるからである。
 人混みを避けて、森の奥まった方へと足を向ける。
「あ、ほら、見てあの人」
「……」
 アキラはどんな囁きをも拾ってしまう、己の耳を呪いながら早足になった。
 アキラはいつも、人間の中に紛れ込むことが出来なかった。それは周囲の空気とは決定的に違う何かを発しているからだった。
 ひと気のない道から林の中に入ってゆくと、ひと足ごとに体の中が変化していくのを感じた。パワースポットのエネルギーに体が勝手に反応している。───惹きつけられていると言ってもいい。血が沸き立ち、隠れている力が目を覚まし始める。そのざわめきはアキラを責め立てているようだった。
 認めろ、と。
 自分が何者なのかを。持っている能力が何かを。立場の重さと責任を。
 毎回肌で知っている感覚が押し寄せてきて、顔をしかめる。アキラは突然に気が付いたように目の辺りを押さえた。
 瞳は徐々に黄金色を帯びてきていた。
 体に内在する桁外れの力は、荒れ馬のように制御することを拒んでいるような気がする。
「ちくしょう……こんな力、いらねえよ。いつの日か、絶対に捨ててやる───」
 軋るような声で言うと、反発するように全身の細胞がうごめいたような気がした。
 アキラはきつく目を閉じて、開ける。
 まだ何もしていないが、疲れが身体を重くしていた。とりあえず頭を振って色々な想いを振り払う。
 これから動物の死を看取る。……それは荘厳な儀式であるべきなのだ。雑念を持ってはいけないと思う。
 息を吸って、周囲を眺めた。その目には、地から湧いてくる土地の精気が柱となって天へと昇っているのが見える。
 通常、パワースポットは聖なる光に包まれているものであるが、この場所のは違っている。あえて言葉にするなら、生々しいほどの力を感じさせる、逞しい空間だ。
 まるで、土地が生きているようだった。
 あらためて賛嘆の眼差しで見つめてから、アキラはついと顎を上げて気配を探った。微かにだが動物の思念が漂っているのに気付いたのだ。途切れがちな波は、臨終が近いことを示していた。
 焦り気味に目を眇めると、樹々の向こうに黒っぽい姿がある。
 駆け寄ったアキラは自分の目を疑った。老年期に近い猪が横たわっていたのだ。
「なんでこんな街中に!」
 思わず洩れた叫びに、猪は薄目を開けて助けを乞うように呻く。口元に泡がこびり付き、周囲には吐いた物が点々と散らばっていた。
 その中には肉団子のような欠片があった。
「お前……年取って餌がとれなくなったから、街に降りてきたのか? それで誰かが仕掛けた毒入りの餌を喰っちまった……」
 畑を荒らして散々に追っ払われたのであろう、体中の傷───未だに血を吹き出している銃創もある。
 それでも、力尽きようとしている体は、生きようとするのを諦めてはいなかった。必死に再生させる力をかき集めているように、体表の筋肉を細かく震わせて体温を上げようとしている。それに伴う苦痛に耐えている猪の目は、徐々に遠いものになりつつあった。
「……ごめんな」
 アキラは巨大な動物の頭を抱き上げて、囁いた。
「俺に出来るのは、お前を看取ることだけなんだよ」
 猪はもう呻き声を上げてはいなかった。顔を顰めたアキラに不思議そうな色の目を向ける。感情のこもった目だった。
 アキラは無理して笑顔を作る。
「門を開けるから、迷子になるなよ。ちゃんと妖魔として生まれ変わるんだ」
 猪は返事をしようとしたのか、何かを言いたげに鼻を鳴らした。しかし後ろ足が断続的に跳ね上がり、未練げな表情のまま痙攣を始める。
筋肉が引き攣れてよじれ、最後の一息を吐き出すまでそれは続いた。
「門よ、開きたまえ!」
 仄白い蛍に似た魂が浮かび上がったのを、アキラの凛とした声が上空に押し上げる。
「我の名において───いまここに、妖魔としての資格あるものを送る!」
 気配だけであるが、天の一画に門が現われた。気高き獣を迎い入れるために、大きく扉を開けて、待っている。
「さあ、行け!」
 その声に、魂は目にも止まらない速さで門をくぐり抜けた。苦しみから解放されて嬉々とした精気を発しながらも、なぜか愁いを滲ませていた。動物の死に様は、常に複雑な想いを引きずっているように見える。
 アキラは、抱きかかえていた身体を地面に横たえた。今はもう脱け殻にしかすぎない肉の塊であるが、まだ温もりは残っている。秒刻みに本物の“物”に変わりながらも、紛れもない生き物だった身体だ。
 心の底から、土に埋めてやりたいと思う。今まで酷使してきた体を静かに休ませたい。誰にも邪魔されずに。
 しかし、それは許されていなかった。鳥についばまれ昆虫に体液を吸われて微生物に分解される、自然のサイクルに委ねなければいけない。アキラはそれに納得しきれないものを感じている。
 人間の場合は共に過ごした家族やペットを野ざらしにすることなどできない。丁重に弔うことが、死したものに対する最期の行為であると知っているのだ。
 そして肉体が完全に腐りきって土に還るまでの工程を、目にしたくないという思いもある。かつての姿が膿み崩れてゆくさまは、愛情や思い出などを粉々に打ち砕く力を持っている。
 アキラは全ての動物を統べる蝙蝠の一族だけあって、どの動物も等しく愛していた。見た目の恐ろしさなど関係なく、健気に生を全うしようと足掻いている姿を知っている。日々の糧を得るために当てもなく歩き、知恵を働かせ、時には毒であると薄々勘付いていながらも───この猪のように───口にする。
 弱いものを屠り、そして最後には自らが弱いものに屠られる宿命の生きもの達。
 自然のサイクルは、他の全てを生かすために死んだものを利用し尽くす。その隙のない循環は、完璧であればあるほどに、醜さをむき出しにしている。
 だから、目を背けたくなる。
 それが自然な感情であると思う。……が、他の妖魔には理解できないらしい。あるがままでなぜいけないのか、と不思議そうに首を傾げるのだ。感覚や情といったものが人間とは違う。
 だったら、なぜ───アキラは思う。自分たちは人間を模した姿をしているのか?
 動物の輪廻の果てが、みな兎族の月見のようではないのだろう。人間界に紛れ込んで現世の動物を守る為とはいえ、見分けがつかないほどに人間型を取る必要はないのではないか。
 この姿になるのを決めたのは、一体誰なのか。
 アキラは怒りに変化しそうな想いを振り切るように、勢い良く立ち上がると猪から目を逸らす。アキラの発達した視力は、こぼれんばかりの蟻が死骸の耳から入って仕事を始めているのを認めた。匂いを嗅ぎ付けた幾多の虫達が群がり来る気配を感じ、食料と化した猪の周りが活発になる雰囲気さえ見て取れる。
 蝙蝠の一族、黄金色の後継者である身体は、迷いから抜けきれない者には荷が重過ぎた。
「……馬鹿だな」
 つい涙ぐみそうになっているのに気付いて、慌てて頭を振った。いつになく感傷的な気分に襲われている。
 門を開けるときに感じる痛みが、増幅されてアキラに跳ね返ってきたような気がした。それはパワースポットの力場が原因かもしれず、また単に自分が弱いからというだけなのかもしれない。
 煌めく粒子が束になって天へと続いているのを見上げながら、アキラはどこか拗ねた表情で肩を聳やかすと、
「……ん?」
 緑掛かった目を眇めて、光の一点が凝縮している辺りに集中した。先程までは気が付かなかったが、何かがある!
 残像に似て、白い塊は確とした線が曖昧なまま揺らめいている。
 誘われたように近付いてみると、それは光が幾重にも薄衣で包まれているように見えた。
「なんだ、これ?」
 厭な気配がしないのを確かめてから、指で軽く突いてみる。
 すると、まるで奔流のような光がアキラの視界いっぱいに炸裂した。目を開けていられないほどの白色の乱舞、何千というフラッシュが焚かれたとしてもまだ勝る、暴力的な眩しさ……。
 両腕で目を庇ったアキラは、金属質の耳鳴りが止んだのに気が付いた。逆説を狙っているわけではないが、止んでみるまで耳鳴りに気が付かなかったのだ。
 そして、不気味な静寂の後に───
「……ヤッホー!」
 底抜けに明るい声が聞こえた。
 その声は明らかに、厄介ごとの匂いを発していた。何かとんでもなく面倒臭い、苛々するはめになりそうな予感にアキラは震えた。全身の感覚全てが拒否反応を起こしているような激しさで───
 目を開けるべきか否かの判断は、必要なかった。つまり、そのまま全速力で元来たほうへと走り出したのだ。
 充分に助走をつけてから、勢い良く皮膜を現出させる。せっかく着替えたシャツが破れるのも構わずに、アキラは空へとはばたいていった。
 身体に感じる風は暖かく、春の薫りを含んでいた。恐る恐る目を開けたアキラは、眼下に小さくなった街並を眩しそうに見やる。
「なんとか撒いたか……?」
 安堵の息を吐いて呟くと、ふと苦笑いを浮かべた。
「何だったんだろうな、あれ……」
 背中の皮膜は力強くはばたいて空気を薙いでゆく。家に帰ったら、またシャツを着替えなければ……
 それどころではない、と自分の内なる声が警告を発していたが、アキラはそれを押し殺して、今あったことは忘れるように努めた。
 半分ほどしか成功しなかったが。


第3章(1)に続く。


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縦書き(7)に続く。



今更なんですけど……書いた当時は大まじめだったんです。すいませんすいません!


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